第68回写真道展で入選「一般の部・ネイチャー部門」
2021年5月22日
北海道新聞社主催・第68回写真道展で入選した
Kくんにインタビュー!
高校生の部ではなく、一般の部(ネイチャー部門)で入選したKくん(マンガ・イラストコース1年)
が撮影した「繋がりゆく命」を解説。作品のこと撮影のことや入学した北芸について、色々と聞いてみました。
タイトル「繋がりゆく命」
この写真は、昨年の1月22日に真駒内公園で撮影した写真です。
実は…このサギ。養殖場の魚を盗み食いしている瞬間です(笑)
「生存戦略」の瞬間。自然と人口的なモノが共存している世界が
面白いと感じて撮影しました。
鳥を好きになったのはいつ頃ですか?
鳥を好きになったのは、小学校2,3年生の頃だったかと思います。
アイヌの「文様の切り絵体験」があって、そこからアイヌ文化に興味を持ち始めました。アイヌの中で「フクロウ」は神として存在しています。
それから鳥が好きになりましたね。
中2のころ、野鳥研究会の人と知り合って、それから鳥を中心に撮影を続けています。鳥の魅力…「やっぱり空を飛べるところ」ですかね。
「繋がりゆく命」この写真に関して説明をしてください。
この写真、魚から水滴が垂れているのがわかりますか?
水と聞くと僕の中で「コウノトリ」の存在がでてきます。ヨーロッパでコウノトリは、「命をつなぐ鳥」なんて言われたりするんです。
この写真にある魚にとっては「命が終わる瞬間」サギにとっては「その命をつないでいく瞬間」がいいなぁと思いました。
サギが主人公なので、これから生きていく、命がつながるそんなことを想像しました。
撮影に関しては、ホワイトバランス、光の当たり方(露出)、色味、構図、「温かい」雰囲気より、少し残酷な「冷たい」雰囲気が表現できるように、そんな臨場感が出せるように意識しました。
どのくらい撮影にいきましたか?
毎日のように撮影場所に通いました。朝3時に起きて、5時には公園に行き、日の入りまでずっと撮影をしていましたね。
一日1,500枚は撮影をしていました。
写真は単純なようで実は複雑。難しいです。もちろんシャッターを押せば写るんですけど…野生動物なんて勿論コミュニケーションがとれるわけでもなく、本当に被写体に合わせるしかなくて、それが絵とは違う感覚ですね。絵は自分の感情をストレートに出せるので、本当に複雑そうで凄くシンプル(単純)な感じですかね。
今は、写真で撮れた複雑化したものを絵で単純化することが好きですね。
僕の中で写真と絵は自分の表現の中でいい循環をしてくれていると思います。
タイトル「従順になんかしてられない」
「一人の人格の中にも、いろいろな感性があってもいい」という話を聞いて、素敵だなぁと感じたことがあります。
僕は、そんな多様性というか、そういう事が、表現できたらと考えています。
写真を撮って材料集めをして、その材料で絵を描くことが楽しいですね。
絵の中に多様性というか、そんな表現できたらいいなぁと考えています。
写真を続けている理由はもう一つあります。生まれてはじめて広がった人間関係をつくれたことです。
「絵」は自分の感情を解放するもので「写真」は僕の心の厚い扉を開ける「鍵」のようなものだったかもしれません。
不登校で学校に行けていなかったから、きっとそう感じるようになったんだと思います。
少しだけ、ドロドロした世界観が僕の絵には出ていると思います(笑)
生きていることが「苦しい」と感じている人たちの気持ちの全てはわからないかもしれませんが、
そんな人たちが僕の絵や写真を見て少しでも何か感じとってくれたらいいなぁと思います。
だから、絵も写真も「楽しい」とか「好き」だけでやっているわけではありません。自分も絵や写真に向かう瞬間「苦しい」と感じることも
ありますが、でも描かずにはいられない。自分にとって絵や写真は眼鏡みたいなものかもしれませんね。生活の一部、身体の一部みたいな感じです。
「表現依存症」…なんて自分では言ってます。
北芸に入学してどうですか?
4月から、自分のペースで勉強できています。授業だけじゃなくて、有意義な時間を過ごしています。
入学後、先生方はみんな寄り添ってくれてます。
卒業までに北芸だからできる表現を見つけられたらと思います。
「ダンス×絵」とかですね。総合芸術ができたらいいなぁと考えています。
中学生のころ、北芸の先輩たちの芸術発表会を見てそう感じました。
僕は、ネイチャー(自然)の世界、自然とじっくり向き合ってきたから、
人と人のつながりを大切にしなくちゃと感じています(笑)自然の中で考えたら人は破壊的だし、せめて
人同士は仲良くありたい…そんな感覚ですかね。
こんな考えちょっと高校生らしくないですかね(笑)
写真道展事務局
http://www.doshakyo.org/